ろ過膜の基礎

Fundamental Information of Filter Membrane

分離対象と分離機構

ろ過膜は、液中の高分子や粒子などの物質を選択的に分離できます。一般的に分離対象物サイズにより、精密ろ過(MF : Micro Filtration)、限外ろ過(UF : Ultra Filtration)、ナノろ過(NF : Nano Filtration)、逆浸透(RO : Reverse Osmosis)と呼ばれる分離方法に分かれます。ユアサメンブレンシステムではMF領域を主力として、様々な種類の膜を提供しております。当社のろ過膜を電子顕微鏡で観察すると、立体的な網目構造をもつ微孔が多数開いており、ザルのように“対象物を篩(ふるい)に掛ける ”ことができます。

表:供給液内の溶質サイズ

(例)ユアサメンブレンフィルター MF-90B 5000倍

画像:ユアサメンブレンフィルター MF-90B 5000倍

相分離製膜方法

ろ過膜は製膜方法により、膜構造を制御することができます。ろ過したい原水の性質や使用用途によって、よりろ過効果の高い膜構造を選択する必要があります。ユアサメンブレンシステムでは独自の製膜技術により、高い品質で製膜できる技術を確立しています。また、平膜製膜技術、中空糸膜紡糸技術、放射線グラフト重合技術など、様々な膜技術により最適なろ過システムを提案いたします。

乾式相分離法

膜材を含む溶液を不織布基材に塗布し、溶剤を蒸発させながら空気中の水分を取り込むことで、均一な微孔膜構造を形成します。

画像:乾式相分離法

乾式膜 断面

画像:乾式膜 断面

湿式相分離法

膜材を含む溶液を不織布基材に塗布し、水などの貧溶媒に浸けることで、緻密な層を表面に有する特徴的な膜構造を形成します。

画像:湿式相分離法

湿式膜 断面

画像:湿式膜 断面

ろ過方式

ろ過方式は大きく分けて2つの方式があり、ろ過したい液の性状、膜分離性能、モジュール形態などからろ過方式を決定する必要があります。

全量ろ過(デッドエンド)方式

供給側の加圧もしくは透過側の減圧により、ろ過対象物を取りこぼすことなく全量ろ過します。ろ過対象物の堆積層(ケーク層)を形成することで膜の微孔サイズよりも細かい粒子まで取り除くことができます。

画像:全量ろ過(デッドエンド)方式

循環ろ過(クロスフロー)方式

供給液の流れによって膜表面の堆積物を抑制しながら、ろ過・濃縮することができます。濃縮液をインラインで回収することができます。

画像:循環ろ過(クロスフロー)方式

膜エレメント・モジュールの形状

平型エレメント

支持体の樹脂枠とろ過膜を溶融着・接着させることにより、両面平型の膜エレメントに加工しています。通水口から吸い上げることで、エレメント外側から内側に向けてろ過します。一般的なエレメントは膜と支持体の間にスペーサーを挿入するのに対し、ユアサメンブレンシステム製は支持体にスリットを入れることで、透過液の通り道を確保しています。数十枚~数百枚のエレメントをモジュール化し、並列処理することで必要な処理量を達成できます。

模式図

画像:平型エレメントの構造

浸漬型平膜モジュール

浸漬型平膜モジュールはモジュールを液中に浸漬させ、ポンプにより吸引することでろ過を行います。主な導入例として膜分離活性汚泥法(MBR)を紹介します。また、MBR以外にも金属排水や有価物回収など幅広い利用用途があります。

活性汚泥法とは厨房排水処理(中水)や下水・工場排水などの有機物を微生物の力で分解・浄化することで、BOD(生物化学的酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)を排水放流基準以下にする処理方法です。現在の日本の水質汚濁防止法では、排水処理設備の設置が義務付けられています。

旧来の活性汚泥法

旧来の活性汚泥法では、第一沈殿槽で嫌気性微生物による分解と凝集沈殿を行い、反応タンクで好気性微生物による分解を行います。さらに最終沈殿槽で自然沈降を行い、オーバーフロー液を砂ろ過します。その後、大腸菌などの消毒を行い、放流することができます。

旧来の活性汚泥法

画像:旧来の活性汚泥法

浸漬型平膜モジュールを用いたMBRシステム

MBRでは第一沈殿槽にて嫌気性微生物による分解と凝集沈殿を行います。反応タンクでは高濃度の好気性微生物による分解を行った処理液をそのまま平膜モジュールでろ過します。この反応タンクでは曝気による気泡を利用して、膜表面に付着したファウリング(目詰まり)物質を薄く取り除きます。そのため、取りこぼしなく細かい菌までろ過できるデッドエンド方式の利点と、ファウリング(目詰まり)を抑制できるクロスフロー方式の利点をハイブリットしたシステムとなっています。このように膜ろ過された処理水は大腸菌なども同時に取り除くことができるため、消毒工程なしで放流できます。また、大きな槽を減らせることでかなりの敷地面積を省略することもできます。

膜活性汚泥法(MBR)システム

画像:膜活性汚泥法(MBR)システム

排水処理におけるMBRのメリット

  • 旧来のシステムを大きく省略することができるため、排水設備をコンパクトに省スペース化できます。
  • 沈殿槽がないため高い微生物濃度を維持でき、効率的な分解を行うことができます。
  • エレメント下部から曝気することにより、好気性微生物の活性化とファウリング抑制を同時に行います。
  • 処理水は消毒不要でそのまま放流可能です。
クボタ液中膜

逆洗型平膜モジュール

逆洗型平膜モジュールは浸漬型と同様に液中浸漬・無薬注吸引ろ過によりケーク層を形成させた後、逆圧洗浄をすることで積層したケーク層を最小限のろ過水で一気に剥がして回収します。有価物回収や汚泥の脱水、フィルタープレス前処理など幅広い分野で使用されており、多数の実績がございます。

逆洗装置は、“ケーク層が形成されるという特徴を生かした”ろ過濃縮回収システムです。
簡単に順を追って解説すると、

  1. ろ過処理によって平膜表面にケーク層が積層します。
  2. 平膜モジュール(ケーク層付)を移動させます。
  3. 微細孔から染み出した逆洗水によりケーク層を浮き上がらせ、振動等により振るい落とします。
  4. 再び液中に浸漬させ、ろ過を行います。
画像:逆洗装置

上記①〜④のサイクルを自動で行い続けるのが、逆洗型平膜モジュールです。逆圧洗浄を可能としているのは、当社製の平膜エレメントの強度が非常に優れていることが理由の一つです。その他の脱水方法よりも低エネルギー低コストで行えるため、効率よく濃縮・脱水・回収が可能です。

お客様の状況に合わせ、豊富なノウハウを生かし当社製品を使用した独自のろ過システム提案も可能です。
ぜひお問い合わせください。