中空糸膜の基礎

Fundamental Information of Hollow Fiber Membrane

中空糸膜と分離機構

中空糸膜とは、細いストローのような形状の分離膜です。一般的に0.5~1.0mm程度の直径を持ち、立体的な網目構造の微孔が開いています。非対称の構造で内表面または外表面に特徴的な緻密相(スキン層)を持ちます。分離対象物サイズにより、精密ろ過(MF : Micro Filtration)、限外ろ過(UF : Ultra Filtration)、ナノろ過(NF : Nano Filtration)、逆浸透(RO : Reverse Osmosis)と呼ばれる分離方法に分かれます。また、空気中の酸素O2と窒素N2などのガス透過係数の差異を利用した、ガス分離膜にも応用されています。ユアサメンブレンシステムではMF領域を主力としたポリスルホン中空糸膜を提供しております。

ユアサメンブレンシステム 中空糸膜孔径 0.45 μm

画像:ユアサメンブレンシステム 中空糸膜孔径

製膜方法

中空糸膜は湿式法の中で、2種類の製膜方法が利用されます。ユアサメンブレンシステムはNIPS法を得意としており、多彩な糸径と孔径を取り揃えております。

非溶媒誘起相分離法(Nonsolvent Induced Phase Separation:NIPS)

主にMF・UF領域の中空糸膜を製膜する相分離方法です。2重管構造をもつニードルの外側にポリマー・溶媒・添加剤などの多成分のポリマー溶液を、内側に貧溶媒である内液を送液し、外液中に浸けることで膜構造を形成します。その際に、内側と外側の貧溶媒の組成や種類を変えることで、スキン層の内外表面を制御します。スキン層は中空糸膜ろ過で最も重要な役割を果たします。

画像:非溶媒誘起相分離法

熱誘起相分離法(Thermally Induced Phase Separation:TIPS)

MFからガス分離まで幅広い中空糸膜を製膜する相分離方法です。ポリマーとオイルなどの高沸点溶媒のシンプルなポリマー溶液を高温で溶解し、冷却による結晶化や固化で膜構造を形成します。

ろ過方法

全量ろ過方式(デッドエンドろ過)

中空糸膜の外側から内側へ圧力をかけることにより、ろ過対象物を取りこぼすことなく全量ろ過します。ろ過対象物の堆積層(ケーク層)を形成することで膜の微孔サイズよりも細かい粒子まで取り除くことができます。また、透過液や薬液を利用した逆圧洗浄も可能であり、定期的にケーク層を取り除くことで透水量を維持します。

画像:透過液
画像:逆圧洗浄液

循環ろ過方式(クロスフローろ過)

中空糸膜の内側へ原水を送り込むことで、内側から外側へ透過させます。供給液の流れによって膜表面の堆積物を抑制しながら、ろ過・濃縮することができます。

画像:循環ろ過方式(クロスフローろ過)

中空糸膜エレメントの形状

中空糸膜エレメントは、1束数千本の中空糸膜とエレメントケースとの隙間をポッティングで封止し、供給液側と透過液側を完全に隔てた製品です。コンパクトかつ大きな膜面積を有するため、高いろ過効率を確保できることが特徴です。ポッティング剤としてウレタン樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で成形します。中空糸膜のエレメント加工は、各社独自の技術で加工されます。ユアサメンブレンシステムでの例を紹介致します。

デッドエンドエレメント

U字型の片側ポッティングが特徴です。強度・耐薬性にも優れているため、薬品での逆圧洗浄を行うことができ、透水性の回復を図れます。また、弊社の膜エレメントにはアウトパイプが装着されており、取り扱い時の接触による糸切れを低減させています。

画像:デッドエンドモジュール

クロスフローエレメント

I字型の両側ポッティングが特徴です。精密に制御されたスキン層と孔径により、目詰まりは少なく、安定した透過液と濃縮液が得られます。

画像:クロスフローモジュール

お客様の状況に合わせ、豊富なノウハウを生かし当社製品を使用した独自のろ過システム提案も可能です。
ぜひお問い合わせください。